前回はRM(ライツマネージド)製品の残された強みについて自身の経験から感じた事を少し書いてみましたが、実際のところRM画像の貸し出し状況は芳しくありません。何しろ借りる側がRFで間に合っているのか、私のこのところの売り上げの大半がそのRFで占められているからです。
私にも否があるのですが、ここ数年(3年余り)は意気盛んなRF一辺倒で来ていたのでRMはCG製品も含めて可成り過去の在庫に留まっている事も原因なんでしょう。広告の環境が激変した11年以降はRMの需要が急速に衰えRFによりのめり込まざるを得ませんでした。
驚く事にそれでもRMを頑張って?預け続けている作家さんが今も結構多く存在しているのも事実なので、狙いを外さなければそれなりに戻りが期待出来るのかも知れません。勿論これまでの過去在庫が継続して売り上げに貢献しているという事もあるのでしょうし、ユーザーの使途についてきめ細かな観測のもとその時々に応じて被写体やタイミング等を絞り込んで預け入れしていると思われます。
実際のところストックフォトだけで生計が成り立っている人はそれほど多くはないのかも知れません。請け負い仕事の副業としてのプラスアルファーで続けている人はきっと可成りいると思います。残念ながら私の場合はそのような安定した生業が無いので致し方ありませんが、このストックフォトをメインに据えるしか道はなく、絶えず生き残りを賭けたサバイバルに晒される毎日を否応無しに過ごしている訳です。
さて本題ですが、今回は「売れる」を如何に効率よく読み解いて実践に活かせるかをお話ししたいと思います。
RMでもRFでも言える事ですが、的を外した状態でいくらつるべ撃ち(連打)したところで無駄だという事です。予め有効な的を絞り込んだ上でそこそこの量(バリエーション)を放つのが有効なのです。風景写真愛好家の多くは同じ場所に何度も通って決定的シーンを収めたいのが心情だと思いますが、それをやっていたのでは非常に非効率極まりありません。
ある程度日数を決めてその中で出合った「これも撮っておくか」程度でいいと思うのです。その方がフットワークも軽く追いつめられるという事が少ないのです。駄目なら次の場所、早朝はここから始めてお昼はここへという具合にその都度の閃きを活かした表現法を私は実践しています。すなわち良く言う「散歩写真」ですね。
それでは「じゃあ何を捉えるのか」ですが、そこが最も重要なポイントになります。まずは「広告の目的」を考えてみましょう。広告主が今売りたいサービスや商品がなんであるのか、それを誰にどんなタイミング(季節など)で告知したいのかという基本的な要素を撮影(CG制作)行為の前にまず考える事です。
大抵作り手側の気分が優先される事が多く、あれを撮りたい作りたいに偏向しがちです。作品制作が目的ならば何をどうしようとテーマに沿って好きに出来ますが、ストックフォトで生計を維持出来るプロであり続ける為にはやはりその辺りの欲望はグッと飲み込んで職業として割り切る事が大切です。
今、お客さんが何に困っているのかを予測して「売り出す商品の背景には何が相応しい画像なのか、他の作家と違う視点(新鮮な魅せ方)は何か」から発想を膨らましてみましょう。
最初の関門はとにかくエージェンシーの仕入れ担当者を興奮させる事です。連日無数の画像を見慣れて飽き飽きしている訳ですから、その担当者をハッとさせる事が出来れば作戦成功です。次の関門は同業作家を凌いで客の興味を引きつつどれだけ印象に残させるかです。市場は常に新鮮さを求めているので今は使わなくとも大丈夫、孰れ売れます。
そして結構重要なのが広告ジャンルのシェアです。言わば客の人気度を常に測るという事なのですが、同じ画像でも観せ方ひとつで使い道や企業はまちまちなので上述の「有効な的」を見誤らない為にも盛んな利用先は慎重に見極めたいところです。
なので撮影の場合は特にその場のシーンを的確に選別しいいアングルを見つけ出す事に専念します。その行為の連続から更に上の売り上げに結びつく幸運を引き当てる事が出来るのではないでしょうか。
単に奇麗で素晴らしいだけの絶景には答えはありません。それに何年も入れ込んで労力と資金を費やしたところで、そもそもカット数が捌けませんしセレクトで弾かれてばかりでは気分も盛り上がりません。どうしても撮りたいを優先したい人やお決まりの撮り方から抜け出せない人のそこはとんでもない不毛の迷宮かも知れません。
結局のところ何が売れて売れないのかは私も解りません。だから完成度70〜80%位を以てとにかくバリエーションで攻めてこそ分析し易いという事に繋がると考えます。どうでしょう、今後の何らかのヒントになるなら幸いです。
余計な事を書いて今日もまた敵を増やしてしまったようです。
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