今年に入って経済が急激に円安に動いています。107円台まで上昇している状況の中で一部の業界からは反発の声も聞こえ始めました。このまま円の価値が下がり続ければつまり内需が冷え込みかねないということです。海外から部品調達している中小など小規模企業にとってこれ以上の円安は死活的な局面に突入するという事です。
勿論そんな影響から多方面で物価高となり店頭価格が更に高騰し消費の落ち込みも懸念されるところですが、ここでの問題は私自身日頃からの懸案で或る「広告費の伸び悩み」にも拍車が掛かって来ているのです。
少し前のブログで書きましたが、「私の売り上げも正常値?に戻りつつあります〜」という希望観測とは裏腹にここ二ヶ月ばかり売り上げの落ち込みが顕著に現れてきました。まさに頼みの綱であるクモの糸が切れた状態です。独立して晴れて6年目に突入した訳ですが、いい面ばかりに夢を馳せてきたとは言え現実としてその前途は多難に満ちているように感じています。
80年代のバブル絶頂期には何を撮ってもそこそこの上がりが望めました。その頃は特に海外旅行が容易になった事もありハワイやアメリカ西海岸など海外リゾート地で撮影したイメージ画像がバンバン売れた時代でした。その後デジタル革命とともにCDROM収録で一気に200点余りをまとめ売りする企業が登場したかと思えば、2000年代に入ると販促がカタログ形態の印刷媒体からウェブへ移行、その後ダウンロード自動化方式へと100%デジタル化が急速に進みました。
その中で登場するのが海外を拠点とする低価格販売が売りのマイクロストックです。
今やグローバルは避けて通れないゲームのルールと化していますが、既に全世界に市場を形成しているマイクロ軍団はこれまでの国内ストックフォト業界に対して最悪の環境をもたらさんとしている状況です。当事者に大いなる早急な変革が求められている事は言う迄もありません。
つまりそれを糧としている国内の多くのストックフォトオンリー稼業の者にとっても代理店同様の変革が求められている訳です。各々の作品の質にもよりますが、かつてのストックフォトでは預かり点数によって大体の売り上げが予測出来ました。
ストック数を積み上げれば上げるほどより安定的なギャランティーが期待出来ます。契約作家に対しての配分も90年代前半までは売り上げの80%が会社の優劣に関わらず通例でしたし、予算も潤沢に掛けられるまさにやりがいの或る業界でした。(現在はフリーが大凡30%強でライツは40ー50%程度)
他のブログで拝見した所によるとここ数年で契約作家の余剰分100億円余りが失われたと言います。一作家の年収を500万円と仮定するとほぼ2000人がストック業界から足を洗った計算になります。もっともイス取ゲームのような商売なので、デジタライズされた時代に上手く乗れなかったり、得意では在っても人気のないジャンルから抜け出せなかった方などが軒並み息切れしてしまったのだろうと推測されます。
私たちストック稼業にはサラリーマンとは違ってボーナスも退職金もありません。有るのは終身雇用のみ、死ぬ直前まで働き続ける事は出来ます。しかし上記のように収入が激減ないしは途絶えても援助の手は差し伸べてもらえない現実があります。つまり非常に不安定な職種なのです。ブラック企業や非正規雇用など色々と叫ばれている昨今ではありますが、ストックフォトもまた今後に於いては更なる過酷な労働条件を強いられる業態のひとつであろうと考えます。
私のように既に50歳を越えた者には再就職の道は極めて厳しいです。何とかここで踏ん張って後10年何としても生き残らねばなりません。その為に何を成すべきか真の実力が試されます。
実に単純な事ですが、取りあえず頭に浮かんだ事を幾つかお話ししたいと思います。アマチュアに多いのですが、ちょっといい機材が登場する度に思わず購入してしまう事ってあると思います。まずはそれは辞めましょう。少し売り上げが上がると「投資」と称して買い続けてしまういわゆる「機材オタク」がそれです。
そうゆう癖の人はレンズ1本数十万円のものでもためらう事無く手に入れたくなるのです。なのでいつまで経っても赤字のままで一向に利益が出ないスパイラルに陥る事になります。趣味なら結構ですが、本業では償却優先で今或る機材を計算しつつ使い切りましょう。
次はテーマの絞り込みです。新しい機材が買えないのであれば、今或る機材をどうにかして有効利用出来ないかを考えます。その為にはテーマやカテゴリー、作画を工夫するなどして出来る限り被写体を絞り込みたいところです。例えば誰でも撮影可能な「風景」の場合で言えば、写真雑誌のグラビアなど一流作家の作品的な画を観て撮影イメージを組み立てるのではなく、何処のどんな風景のどの部分に注目していくかが大切です。
そこには企業(広告主)が存在する訳ですから身勝手な作品がどれほど優れていようと、本来の目的は広告に使えるか否かが売り上げに直結するという事です。企業が求めている画像は何か?企業はこの画像をどの分野でどう利用使用としているのかを的確に見極めて、バリエーションも含めその部分に集中して作画する必要があります。そういう心構えで現場に立てばきっと何らかの答えが見えてくる筈ですし、その過程で撮影カットの善し悪しが更に理解出来るようになるかも知れません。
これを読む方の中には相当の腕をお持ちのライバルが居るやも知れませんので、具体例を挙げるなどの詳細な説明が出来ない事をご了承ください。
後はとにかく1テーマを沢山撮る事です。マイクロストックの契約作家さんで良く聞く話しとして、一回の審査で預ける画像が僅か数点など余りにも少ない方がいるようですが、それでも気楽に「もっと頑張らなければ」とやけに呑気です。私などは一時に最低でも200点以上、多い時は800点超をエントリーしています。
でないと食えるレベルまでいかないのです。それを最低でも二ヶ月単位ぐらい(年間6タイトル)で何かしら作り上げていく根性が必要です。前出の方が毎度数点しか選ばれないという事であればエントリー数が少ないというよりも広告素材の意味が根本的に解っていない可能性があります。テレビのCM、印刷物やパッケージ、ウェブ掲載のイメージ画像などを参考に自身に何が欠けているのかを再チェックしましょう。
ちょっと上から目線で解説してしまったような感じで恐縮ですが、同じ家業で頑張っている皆さん!頑張れば報われるという希望を胸に未来に向けてお互い張り切っていきましょう。
終わってみてなんだか話の筋が違ってしまった気がしてます。続きは次回。
コメント
凡人
2014/09/17 URL 編集
デジ画職人
私自身はマイクロストックはやっておりません。
アマナさんなど大手と契約している関係で正直手が出せないと言った方が正解です。
貴殿のマイクロストックでの現状は如何ですか?
結構がんばっている方のブログを拝見すると
月に100万円前後稼げている風の売り上げ報告を最近見かけました。
きっとモデル撮影中心が主体で数人の組織で動けるタイプだと思いますが、
結構費用はかかっているんじゃないでしょうか。
同じ事をしようものなら相当の人脈(維持管理)と初期費用は必要です。
正直私には手が出せない世界かな。
何かお聞きになりたい事などありましたら気軽にお声かけください。
毎度偉そうなブログを書いてしまっていますが、
ある意味素人な面も多々ある私です。
今後ともよろしくお願いいたします。
> ブログ主様もマイクロストックやられているのですか?
2014/09/18 URL 編集