先月、今は独り党の山本太郎参院議員が園遊会の席で天皇陛下に手紙を手渡した事が大きな問題になりましたが、その後山本議員の皇室行事への参加を事実上禁止した事で一応の解決をみたようです。彼にしてみればお国の象徴であるトップへの原発事故の現状と脱原発の陳情だったのでしょう。
ただ迂闊にも彼は政教分離の原則をすっかり忘れていたようです。あくまで観測ですが、陛下の力で国会を動かしてもらいたかったのかも知れません。彼のパフォーマンスはこれに留まらず、つい先日も皇居の橋の袂で突然現れた新潮(雑誌)記者と一悶着ありました。山本議員自らがネットにアップした側近が撮影したビデオ映像の一部始終を多くの国民が知る事となった訳ですが、私個人の印象として言わせて頂くと、余りに本性剥き出しで議員としてふさわしからぬ言動とともに側近の方の恫喝も含め自身のマイナスイメージに拍車をかけてしまった気がします。
去る7月に参院選で当選した直後、ある報道番組の中で元ライブドア社長で堀江モンこと堀江貴文氏と原発の今後について意見を交わした際に山本氏が堀江氏に対して「貴方はしばらく檻の中に居たので分っていないかも〜」と中傷するような失言がありましたが、私はそれを聞いて、「この人は感情に任せて結構失礼な事を平気で言う人だな」と思っていて、今思えばこのところの彼の行動でより多くの敵を生んでいる事は頷けます。脱原発を正面から発信している数少ない行動派だけに残念でなりません。
番組内の堀江氏とのやり取りでも彼は誰もが知りうる受け売りでお粗末な受け答えに終始し、廃炉に向けた一連の論理的かつ具体的な道筋が示せなかった事は、まさに張子の虎と揶揄されても仕方ありません。
言い分はそれぞれ色々あるにせよ、ふと冷静に客観視してみれば「脱原発」と「原発推進」のニ択議論など殆ど意味がない事に気づかされました。まず「脱原発」では、全国の廃炉費用が莫大に掛かる事に加え何の利益も生み出さないいわゆる「放射能のゴミ処理」に向こう数十万年以上の途方もない期間、国民の税金が湯水のように使われ続けていくのです。
そんな税金を横流しして美味しい汁を食らう聖域に安住する輩がやたらと出て来るのは勿論、数年単位で起こりうる巨大地震やフィリピン諸島群を壊滅させた様な大型台風、新たな大津波の発生、施設老朽化の下運転員の怠慢や奢りが引き金となって勃発する原発事故など完全廃炉までの道のりは余りにも過酷と言わざるを得ません。国交の成り行きによっては北朝鮮や中国、韓国から今後原発破壊工作を目的としたテロリストが送り込まれる事だって十分あり得ます。
それでは「原発推進」はどうでしょう。放射能漏れさえ無ければ他のエネルギー創出策に比べてパワフルで実にクリーン、温暖化を抑制しうる有力な省エネ発電システムと言えます。毎月掛かる電気代は下がり、各ある巨大産業界・次世代エレクトロニクス事業への貢献度も大いに期待出来ます。
他国への原発輸出がより高度な研究者や技術者を育て安全安心なエネルギー発信大国として世界をリードしていくに違いありません。今後エネルギー政策の強固な協力体制が築ければ隣国とのわだかまりも薄らいで将来の国益にかなう素晴らしい事業である事は疑いない所です。原発によって世界は更に便利で快適な世の中になっていくと思われます。
と、ここまで書くと「反原発」の方々に酷く叱られそうですが、私は別に「原発賛成」を唱えている訳でも「原発信者」でもありません。事実として、正直なところ国民の将来に於いて無理を強いるのが「脱原発」で、強いにくいのが「原発推進」というだけの事です。
それでは宇宙時間で見てみましょう。例えば樹木が枯れるように他の自然界の輪廻同様に人類界もいずれ滅亡するとします。廃炉の途上で予期せぬ事態が起こって世界中に高濃度の放射能が拡散した場合、当然人類のみならず殆どの生物は死にます。原発推進も同じです。
廃炉といっても前出の通り放射線の多くが10万〜100万年経たないと無害にならない訳で余りに途方もない未来です。今後起こりうる多岐に渡る負の歴史をくぐり抜けて果たして人類はそんな先まで生存し続けて行けるのか疑問です。
仮に第3次(核)戦争が起これば向こう300年程度で人類滅亡。平和な世界の中で運良く天変地異を回避出来たとしても永くて3000年先辺りで滅亡してしまうんじゃないかと考えます。
証明するだけの根拠はありませんが、巨大隕石の衝突、想像を遥かに超える地盤変動、大気の急変、オゾン層消滅により大量に降り注ぐ放射線や宇宙線、酸欠、驚異的な感染力を持つ殺人細菌の猛威、−100度を超えるほどの猛寒波、摂氏60度以上の灼熱地獄等々、この地球で暮らす以上あらゆるリスクを覚悟しなければなりません。3000年の間にきっと何かが起こる筈です。
宇宙の成り立ち(ビッグバーン)から数えて137億年が過ぎた訳ですが、その後人類らしき生命体が誕生して500万年程度。すなわち、これからの300年と3000年の差なんて宇宙時間からすれば五十歩百歩、どちらもものの一瞬でしかありません。
だったら「原発推進」の方がいいじゃないかとなるのです。
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