宙に浮いている感覚

およそ5年前に晴れて独立を果たしフリーランスのストックフォト作家として何とか自立しているとは言え、やはり日々不安の毎日は今も続いています。フリーと聞くと雇われの身である世のサラリーマンからすれば憧れ職の一つかも知れませんが、現実はそう甘くはありません。

まるで世間から自分だけが取り残されているような、宙に浮いているような状態なんです。ここしばらくの不景気風に吹かれている間はずっとそうであった気がします。意気揚々とデビューといった感じで、まずこれをしようあれを取材しよう。機材はこれとこれ、独立当初は確かにワクワクした気分はありました。

が、それもつかの間、リーマンショックや東日本大震災など多くのトラブルが頻発する中、売り上げは徐々に減り始めていきます。そうなると途端に滅入るようになりました。今もそんな面持ちの中自らが科す今の仕事をただ淡々とこなす毎日です。

「芸術なんってモノはいつだって作ったもん(作者)が死んだ後に報われるものだ。」私がまだ小学生の頃、親父が口癖のようにそう言っていた事を思い出します。しかしストックフォトのようにビジネスとして成立さえすれば、ある意味芸術的な画像だってお金をある程度稼ぐ事は可能であり、現実私自身はそれでどうにか食えています。

ただ、本格的な芸術を志向しようとすれば、なかなか難しいのも事実です。世の中にはフェラーリやポルシェなどの超高級車を毎月数台づつ買い替えても懐が全く痛まない大富豪や実業家が居ます。芸術にも莫大なお金をかけてはお気に入りの収集に余念がない事でしょう。

究極そこまでの人はともかくとして、大きな新築の家に住んで不景気などどこ吹く風でもってそれなりにいい暮らしを満喫されている人は皆さんの身の回りにも結構居ると思われます。

そういった方々がもしもストックフォトを始めたいと言った場合、勿論撮影には十分な費用を掛ける事が可能なので、高額なプロ機材を相当数準備し世界各地に惜しげもなく足を運ぶ事は容易、モデルや撮影スタッフ、CGクリエーターもふんだんに雇用出来ます。専門のビジネスコンサルタントのアドバイスを受けながら必要なテーマをバンバンこなしていけば、優雅な作家ライフを満喫しつつ楽しみながらそれなりの利益も得られるでしょう。

でも、そんな方達は元々ストックフォトビジネスをやらなくても全然困らない方面の人なので私としては、むしろ社会や環境に貢献するような真の芸術分野を選択してもらいたい訳です。その方が正直、彼らにとっても実に意味深い事のように思えてなりません。

世間の営みにしっかりとした線引きさえ作ってあれば、私の足も少しは地面に触れていられるんですが。



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写真家・CGクリエーター:石関ハジメ


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