既存型ストックフォトの厳しい現状とその打開策について

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昨日の続きになります。
具体的に記すと上図のような状況がストックフォト業界の今の現状を如実に表しています。購入見込みユーザーの足取りは以前のように蛇行を大きめに取ってじっくり的確な素材を探し出すのではなく、概ね低価格帯にまとわり付かれながらその蛇行は僅かになっていると思われます。この主な原因は広告する場が印刷物から投資の少ないウェブに多くが流れている事を意味します。

極めて割安で済むアマチュア投稿型のマイクロストックや大手エージェンシーも行っているサブスクリプション(量や期間をまとめての値引き)販売方式の登場によってストックフォトを生業とする各社契約作家にとっての打撃はもはや計り知れないところまで来たと言えます。

→打開策2018年版はこちら

特にマイクロストックの人物素材は
日本人モデルを使った国内用と外人モデルのそれなど現在に至っては数千万点にも及ぶストック数を誇りジャンルも程なく充実しており、それらが高々数百円単位から販売されている訳ですから国内の大手が高級路線を維持しながら同じ方面にその知名度を武器に繰り出しても元々の売り値を下げない限りユーザーの奪還はもはや不可能とさえ言えます。

ハウツウ的なサイトが広く増える中その文中で使われている素材の殆どが人物ものであり、そのテーマに沿う形でモデルのポーズや表情、人数や形態も様々。白い背景と基本的なスタジオライティングの設備さえ整えば、素人でもネット上で調べて難なくコツを掴んでそれなりの素材を完成させる事など容易いのです。

ただでさえ機材は今や価格競争の煽りで発売直後ですら同ライバル機種が出た途端に大幅下落する始末でプロ機材に匹敵する製品をやすやすと手に入れ止めどなくわんさかと参入してくるアマチュアにわかカメラマンに機材力で差別化を図る対抗処置などとっくに失われていると言っていいでしょう。

印刷ダメ、ネットダメ、で八方塞がりでは売り上げ低迷するのが必然でありつくづく時代は変わったと認めざるを得ませんがしかし、既存のストックフォトというビジネスモデルのすべてが崩壊した訳ではなく商売の方式が消え失せるとは今の所考えにくい訳なので僅かながらも方策はまだ残されていると思います。

とにかく企業がある一定の予算を組んで其れなりのお金を投資しなくなったのは事実で、まあそれ以外にお金が掛かかるものが出来たんでしょうから仕方ありません。何処の会社も生き残るために必死で頑張っているのは理解できます。その事からつまりはユーザーにとって今必要とするメリットが提案出来なければ高額品に寄り付く暇と理由がないのです。

今私が作っている素材の大部分が時代の変革と共にズレ始めたのはその認識の甘さかも知れません。早めの処方箋を打ち損じた結果がここに来て具現化しているすなわち売り上げの急降下に繋がっているのです。グローバルだの高速通信だのコミュニケーションだのエコロジーだの、そんなこれまで当たり前で強いと思われていた鉄板テーマが本当に今のユーザーが真に求めているものなのか、もう既に低価格帯にそんなテーマの殆どがそこそこ勢ぞろいしていたならこの先いくら『高品質』に仕上げて訴えても結果はついて来ず大量の渦の中にただ埋没していくだけです。

さあ、今一度初心に帰って考えてみましょう。
どうやったら売り上げが回復し更なる高みに希望を見出せるのかを。実写なら何処に向けて何をどう写すのか、CGなら背景やオブジェクトのより高度な使い道を探る事が必須です。それによって改めて学習すべきスキルも必要になるでしょうし手際よく短時間で仕上げるテクニックは重要です。

今注目される次世代製品およびサービス需要に直結する素材のそれに早急に気づき編み出すしかないそれ一点ではないでしょうか。例えば仮想現実を商品と結びつけるAR/VR技術への投資が昨今めざましいと聞きます。もちろん今後の動画コンテンツは4K6K8Kと益々大容量かつ大画面化と繊細さの方向に向かう筈です。如何にその環境に耐えうる素材をどれだけの物量で提供できるかも進展の大きなキーと考えるべきです。

どの商売もそうですが、一つの製品を売り込んで受け渡してハイ終わりでは済まされない時代になりました。その後のアフターケアや管理維持など総合的で一つにパッキングされてなんぼの世界が当たり前であり、塊として提供できる事が最大の差別化にも繋がると思っています。自分が今できる事、持っている能力を総動員して売り込む以外に安売り環境を打破できる勝算は薄いかも知れません。

『自分が今できる事、持っている能力』とは、
デジタル環境を操れる撮影、CG、Web、編集、応用の提案、その実現と速やかな提供、サポートなどを一手に引き受けられる素養とそれらを積極的にセールスする基本的能力。

今後もストックフォトビジネスを継続するのであれば、
手っ取り早いところでまず契約エージェンシーの窓口で今自身が考える意表をつくような斬新かつ驚きの戦略ロードマップを指し示し販売サイトにそれを反映させて新たなビジネスの創出を促し、予め計画される手順に従って新規ユーザーおよびその他既存ユーザーへの強力なアプローチを展開。独自のコンテンツモデルならではの長期的でほぼ独占的なシェアが勝ち取れるという流れになるでしょうか。

今後『プロ』を名乗るなら取り巻きをその気にさせていい結果を出すぐらいの常に頼られる特別な助っ人になる。ここまでやれないと本当にアウトかも知れませんね。

続きはこちら→ストックフォト2016年・私の印象

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写真家・CGクリエーター:石関ハジメ


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