今の世の中、常に不安定な非正規雇用や利益に固執するが故の過度な長時間勤務等々異常とも思える働き方が業界を問わずそれはある意味人権無視と社会格差を加速させているとも言えます。特に後進国は低賃金の仕事にありつくだけでも至難で、仮に働けても日本円でわずか数百円足らずの日当という話もよく耳にします。
そんな劣悪環境下においてはもちろん家族を養う事など相当に困難であり、子供はまともな教育も受けられず、時に少女が人身売買にかけられるケースは後を絶たない状況です。明日自分は生きていられるのだろうかという所謂『絶対的貧困』というキーワードを一つの括りとすると、一方で『相対的貧困』というワードも存在します。
相対的貧困とは金銭的に3人世帯で年収250万円以下の生活者を指すそうです。
『絶対的貧困』の場合は生死に関わる重大な貧困状態であり最低限の生存に必要な水、食料、医療など速やかな対応が求められる訳ですが、一般に私たち日本人のようなある程度福祉援助機能が整った先進国では概ね『相対的貧困』者が多いとされます。とりあえずの生活環境は維持されつつも生まれや学歴、仕事などある程度恵まれた裕福な生活者に比べて生活レベルの差は歴然と違っています。
先日NHKの番組で取り上げられた貧困女子高生の現状を紹介する番組が視聴者やネットユーザーはたまた一部の国会議員までもが非難轟々の嵐を巻き起こしているそうです。「彼女は裏で贅沢しているのになぜ貧困なのだ」という疑いです。確かにある程度多少の贅沢は許されていいかと思うのですが、批判者はそれを許しません。「貧乏じゃない」と断罪する訳です。
しかしどうでしょう、私を仮に例にとるとします。ストックフォト素材の制作を生業にする上で欠かせないのが撮影機材ないしは絶えず襲ってくるパソコン周辺機器や関連ソフトウェアの購入やその更新です。今使用している機材はむしろちょっとしたハイアマチュアが使用している以下の機材なのですが、取り敢えずは代理店で許可されている条件内のため問題なく至ってシャープにプロの現場でトラブルを起こした事は一度もありません。
しかしこれがお客さんから直に依頼される写真屋さんの仕事だったらどうでしょうか。「やけにしょぼいカメラだな」「あいつちゃんと撮れるのかな」「アマチュアか?」などと馬鹿にされるといいますか、ある意味経験やセンスがものを言う世界であり、そんな小気味良い仕上がりになっていたとしても数十万円するような高級機を数台持ち込むそれなりの風貌の方が突如入り込めばたちまちの内に次から依頼が無くなる可能性は大です。仕上がりの差は兎も角相手に与える印象など見た目は重要になってくると思われます。
それでは私が高級機を購入出来るかと言えばそれはノーです。一人ものならまだしも家族持ちでここしばらくうだつも上がらず、むしろ徐々に下降気味な状況で資金繰りの厳しい中、今はまず不可能となります。日頃ネット上で高級機材のスペックをチェックしながら悔しい思いの毎日を過ごしている訳ですが、問題はそれだけではありません。
外部のハードディスクはどれも満杯状態に迫り、バックアップ用に2ベイタイプを購入すればケースとHD本体2台で3万円は掛かります。その3万円すら難しいというのがお恥ずかしながら私の現状です。これはすべてストックフォトのみで生活をやり繰りしようとする事に最大の問題がある訳ですが、一日中何かを作りかつ近場に撮影に行く中で副業などの時間も惜しまれますし例え別の仕事が都合よく見つかったとしても作品の創作意欲への悪影響や、健康の維持など畑違いの二重労働は身にしみます。中年を過ぎるとそんなマイナス思考に囚われどうしても躊躇してしまうのです。
ファッション、人とのお付き合い、イベント参加、レジャー、家族旅行、お金のそれなりに掛かってくる趣味などは当然不可能であり、このままいけば今後は自家用車は極めて安い軽の中古、家電製品も安かろうで選ばざるを得なくなると予想されます。まさに私世帯は差し迫る『相対的貧困』に該当すると思っています。
先の貧困女子高生で言えば、親が自身の必要経費を削ってせめて娘に友達と同じ製品を与えたい、出来る限りいい環境を整えて上げたい。当然娘さんはその親の気持ちはしっかり分かっている筈ですし、当人も何処かでそれでも見栄を張ったりして相当我慢している場面はあるのだろうと感じます。ともあれまずは自分ごととして想像してみてください。
実際の生活環境でそこは差が出てきますが、200万円の新車じゃなくて600万円の外車が欲しいという人も精神的には絶えず贅沢したい症候群的な心の『相対的貧困』に陥っている訳で、言ったら貧困人口なんて切りが無いほど膨大なのではと今改めて思う訳です。
今回の『これは使える!直リン画像素材』は、【タイトル:背景アンソロジー3・東京】からの抜粋になります。小綺麗な新築の一戸建て住宅が奥に見え、その手前には年季の入ったトタン張りされた粗末な家屋の壁とその出入り口のベニア扉。わずかに差し込む日に浮かぶ洗濯物が印象に残る実に対比的なシーンとなりました。そして同時に見知らぬここの住人の事が様々に想像できます。
→DEGIGA.JPサイトにてタイトル:背景アンソロジー3・東京の全画像をチェックしてみる。imagenavi(イメージナビ)ご不明な点はDEGIGA.JPサイトの
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