私がどこぞのフォトエージェンシーの契約作家としてストックフォトに携わってかれこれ27年ほどになるかと思いますが、遅咲きながら本格的に独立し量産体制に入ったのは今から8年前の2008年3月になります。多くの契約作家(大半はカメラマン)は撮影ないしは制作した作品素材をその都度季節のタイミングを見計らうとかその時期ならではで有効と思えるテーマに沿って特に傾向を絞る訳でもなく、いわゆるざっくばらんに作り溜めた順で代理店に預け入れするのが一般的です。
私も以前はそういった形で納めていたと記憶しておりますが、独立以前に勤務していた同様にストックフォト素材を制作する会社では当時当たり前だった平均100点ほどをひとまとめに収録して販売するCDROM製品というものがあって、その中身はもちろん一つの大きなテーマを踏まえてそれなりのタイトルも付けられ売っていました。
独立後は「そうだ、タイトル単位で作品作りしてみよう」とふと思いつき、その後自身のPRサイトである
DEGIGA.JPを開設しこれまでに制作された全タイトルが80点を数えるほどにアーカイブされ現在に至るという訳です。今後も留まることなく次々と新作が登場する予定ですので是非ともご注目ください。
という中で、私が現在契約している販売代理店を含め何処の会社に於いても時代の急激な変化に合わせるように販売価格の見直しや方式が思いの外ハイスピードで様変わりしています。作家側からすれば売り方の選択に幅ができたと言えばそれまでですが、実に厄介な状況になった事は確かです。
以前(90年代前半)は使用媒体の形態や期間によって素材の貸し出しのみ行うRM(ライツマネージド)販売タイプが主流で売り上げ金額も作家取り分がユーザー購入価格の8割で1点¥25000〜50000ほどの高額で安定していた時期もありましたが、やがて上述のようなCDROM屋さんの登場を機に次第に設定値や報酬比率も引き下げられその後素材のデジタル化が進み高速インターネットの普及がその値崩れを加速させていきます。
各社が同じ素材を売り切り販売出来るRF(ロイヤリティフリー)製品がその最たる原因でした。RFは1社のみ販売権を持つ完全独占と各社に同一素材を自由に持ち込める非独占タイプが存在し、また先のRMについても同様の販売方法が突如打ち出される事となりストックフォトを生業とする作家の大部分がまさに価格破壊の混乱に否応なく巻き込まれていきました。
2010年前後にはあのアマチュア作家を中心とする超低価格を売り言葉にしたマイクロストックという分野も市場を賑わす事となって、もはや世はストックフォト戦国時代に突入したという訳です。それではその戦国の世を如何に生き抜いていくのか、私自身も今次なる方策手段に日々頭を悩ませているといった状況です。
まず基本形としてRFかそれともRMにするかはそのジャンルや素材の価値基準の違いによってさまざまに考えられる訳ですが、私は現時点でRFが有効ではないかと考えそれを実践しそれも非独占(各社拡散)タイプに力を入れ続けています。時にテストケースとして地球などグローバル系CGなどでは敢えてRM(一社独占)販売形式で各社に振り分けて投入する事も過去には何度かありましたが結果はどれも芳しくありません。つまりは時代が変わったという証拠です。
それではRFの一社独占タイプはどうかと言いますと、こちらもユーザーの偏りが生じやすく、またある特定の素材に集中し易い傾向に加え、販路も狭まる事から思うような数がさばけない状況はこれまでの独自のデータの結果からも明らかになりました。私は予算的人脈的にも人物撮影を不得意とするのですが、もしも人物素材が豊富にバリエーション豊かに制作できるのであれば、もしかするとマイクロストックに預け入れしていたかも知れません。
SNSの分野ではマイクロ系と思える安価な人物素材が頻繁に登場してきます。個人ブログを始め通販サイト、啓発セミナー系などその数は尋常ではありません。その割に同じ素材のバッティングは皆無で不思議に思うくらいです。サイト上に公開されている人気のポートレートカメラマンの売り上げを見てみると月に一人で少なくとも500カット以上が販売されており、仮に1点を1000〜3000円と計算してみれば概ね100万円/月前後になります。
いわゆる一社独占RFな訳ですが、人物撮影で上手くモチーフを際立たせる事が出来さえすればマイクロ系でも十分有利といえます。これがもしも国内老舗の大手販売店だったならどうでしょうか。比較的お高くなる関係でユーザーの大半が数少ない法人関連となり、価格はいいとしてもライバルも多く個人相手のマイクロと比べて売り上げは相当厳しいものになるでしょう。
マイクロストックで私のようなイメージ素材をやっておられる作家さんを当該サイト上で結構見かけるのですが、そんなカテゴリーなら老舗代理店の方がしっかり売ってくれそうです。マイクロでは売れたとしてもそれだけでは生計が成り立たない微々たる収入程度でしょうか。今の私の立場ならまずマイクロ系には預けません。...られませんね。
そんなこんなで今回も長々しゃべった割には的確な結論は出ませんが、少しでも有利に働く売り方を探るという事それもひとつの作戦であり、有効と思えば兎にも角にも即実行してみるというのは一考かと。
今回の画像素材は8月上旬に北海道富良野のお花畑を撮影した画像で、タイトル:
夏色ガーデンからの抜粋になります。一面のラベンダーの絨毯に夏の花の鮮やかなラインが印象的かつアクセントになったゴージャスなバックグラウンドになりました。機会に応じて是非ご利用ください。
→PRサイト:DEGIGA.JPにてタイトル『夏色ガーデン』の全画像素材をチェックする。aflo(アフロ)imagenavi(イメージナビ)ご不明な点はDEGIGA.JPサイトの
CONTACT、もしくは各社販売窓口にてお尋ねください。
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