
ネパール中部で25日午後3時頃に発生した大地震によってエベレストの主要登山口でもある首都カトマンズはほぼ壊滅状態に陥っています。各国の時事通信の報道によるとこの地震によるネパール全土での死者数は既に3000人を超えているという事ですが、通信や交通など各地域のインフラ網の多くが寸断されていて実際の犠牲者の把握は困難な状態と聞きます。今しがたの報道で専門家が今後8000人規模の死者数に達する可能性についての言及もありました。
ネパールの医療機関は非常に貧弱で、人口1万人に対しての病床数僅かに50床ほどで医者の数も2.1人だそうです。カトマンズ市街の負傷者大凡3600人余りが救急治療を殆どの受けられ無い状況で混乱している模様です。
各国の救援隊も飛行場や各都市部で待機を余儀なくされて出動が出来ないという事ですが、何しろ被災地付近の道路網が各所で崩壊し、またその土砂の山が行く手を完全に塞いでいるからに他なりません。直後の余震が断続的に起っている事から二次三次災害の恐れが懸念され動こうにも動けないといった状況なのです。
既に亡くなられた方々は仕方ないとしても、今も救出を心待ちにしている多くの住民の生死が心配されるところですが、その猶予の時間切れが刻一刻と迫っている訳で、早くなんとかならないものかと手を拱いているばかりです。

しかしインド大陸がぶつかって出来た絶え間なく変化する不安定な地盤の上に暮らしていながら、政府の地震対策はこれまでおざなりにされて来きました。家屋が倒壊した残骸の山を見るにつけ残念で仕方ありません。倒壊した家屋の殆どでレンガが使われ柔な木材が申し訳ない程度に四方を支えているといった感じです。これでは横揺れに対して完全にアウトです。この造りではほんのちょっと揺れただけでも問題でしょう。
この国の困窮する生活事情というのもあるのかも知れませんが、そこは政府機関や統治する各自治体が資金的な最低限の援助を日頃から絶え間なく行っておくべきであり、まさに国家の怠慢に他ならないと私はこの状況を見て痛感させられました。仮に今後復興支援がどの程度進むのかは全く見えませんが、仮に1〜2年でそこそこ正常化されたとしても、多くの犠牲の元ではその活力も半減するに違いなく、特に観光産業への打撃は大きいでしょう。
これまで日本のメディアが現地取材を通してネパールの雄大で素晴らしい自然景観とそこで暮らす牧歌的で幸せに満ちた人々の姿の数々を映像番組で紹介して来た訳ですが、あの笑顔をたたえた村人にはもう再びお目にかかれる事は無いかも知れません。
地震・雷・火事・親父と良く言いますが、やはり地震は自然が齎すこの世で一番恐い現象です。私たちは図らずもこの惑星の表層(薄皮一枚)の上に間借りしているに過ぎず、内部の地殻変動とは常に一心一体という事になります。特に地震立国の我が国に於いては、あのエビのような姿が表すようにこれまで相当な地殻移動に晒されている事が分かります。4年前に起った東日本大震災の教訓冷めあらぬ中に於いては流石に今回のネパール地震を対岸の火事という風に思う国民は居ないと思いますが、身の回りの生活環境の不備に是非今一度着目しては如何でしょうか。
因に、茨城県内の我が家では先の震災を契機に家具の上部に専用部材(L型金具のボルト締めや鎖の突っ張り器具など)を設置、大型液晶テレビのステイ下部には接着型の滑り止めゲルをすべてに装着しました。震災直後は室内は散々な状態でしたが、準備というのは後からでも決して遅過ぎるという事はないと思います。
南海トラフ地震が懸念される中、地質専門家からの直近の報告によると、この先30年以内には関東地方で大地震が発生するそうです。
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