去る2009年に公開された自然災害パニック巨編と言えば『2012』ですが、ただ残念だったのがその後の東日本大震災に向けての心構えと模擬教訓としては活かされなかった事です。海岸沿いに暮らす多くの方達が沿岸を襲った大地震で発生した予想だにしない大津波に飲み込まれ命を落とされました。
更に福島原子力発電所の未曾有の高濃度放射能漏れは4年を経た現在でも民間人の近隣への立ち入りを強く拒み続けており、ご存知の通り放射線の除去遅延や大海への汚染水の漏洩流出はニュースでも度々報告されています。
あの『2012』で唯一描けなかったものはやはり原発でしょう。劇中で大量の放射線が大気や海に流れ込むシーンとその後の困難を描き込んでいたなら、きっと映画として成立しなかったに違いありません。資金源であるスポンサーの大半が躊躇する内容になっていたからです。

それからおよそ6年、遂にあのディザスター映画が再び公開されます。『サンアンドレアス』です。アメリカカリフォルニア州南部から西部に渡って1300キロ余り続く巨大な『サンアンドレアス断層』を震源とするマグニチュード9の大地震が発生、ロサンゼルスは壊滅状態に陥ります。高層ビル群は瞬く間に崩れ落ち郊外の強固なダムもあっけなく崩壊していきます。
もはや地獄図と化した現場にザ・ロックことドウィン・ジョンソン演じる救助ヘリパイロット(レイ)とその元妻(エマ=カーラグギノ)がサンフランシスコに住む疎遠の愛娘(ブレイク=アレクサンドラ・ダダリオ)を救出に命がけで挑むスペクタクルアクション巨編です。

アメリカ本土での公開は5月29日とありますが、日本国内でいつ封切られるかの情報はまだありません。九分九厘公開されるとは思いますが、取りあえず楽しみな映画です。楽しみと言うといささか語弊がありますが、映画の設定や状況描写からすると相当な数の国民が悲惨な目に遭っている事は確実な訳ですから、ただ単に観て楽しめばそれで終わりと思ってはいけません。
上述の通り、やはりここは模擬教訓として心に留めておかなければならないと私は思います。「もしもこの場に自分が居たならばどうやって我が身を守っていくのか」を改めて考えて欲しいのです。無傷で助かる確率は極めて低い訳ですが、生き残るために起こす次のアクションを場面ごとに常に頭に描きながら鑑賞するべきです。

福島原発が水素爆発に至った原因は地震直後に襲った高さ10メートリ余りの大津波によって大量の海水が地下の電源部に侵入、送電が停止した事から原子炉内の温度が急上昇して起った事です。東電では何年も前からそのような懸案について討議されいましたが結局防潮堤の拡張工事は地震発生まで行われる事はありませんでした。電源部が地下にあった事も問題になりました。もしも上階に設置してあれば水没に至る事は無かったと思われるからです。
既得権益に絡む一部の上級幹部一派が起こした重大な判断ミスだったのだろうと私は今もそう思っています。つまり何と言ってもこの人たちにこそ、今映画『サンアンドレアス』に学んでもらいたい。

ここで突然ローカルな話になりますが、夕方から深夜に掛けて左側通行で自転車を運転中に背後から来た脇見や居眠り、酒気帯びなどの車にはね飛ばされる事件事故をよく耳にします。若い女性が夜道を歩行中に襲われるケースというのも多くなりました。
この世は安全ではないという事をもっと一人一人が自覚するべきなんです。あまりにも軽率で、日頃からこの先の危険を想像(妄想)出来ない人に限って事件や事故を起こしたり巻き込まれたりするのだろうと考えます。
狭い路地で猛スピードで小さな十字路を抜けていく自動車、登下校の自転車の学生の殆どが小道の路地からチラ見程度かつノーブレーキで本道に侵入している光景は日常茶飯事という具合に言えば切りがありませんが、いつ惨事に見舞われても不思議ではないですし、その後の人生を大きく左右する事を我々はもっと先を読んで想像すべきなのです。
警察は基本的に事後処理が仕事です。貴方の命を救ってはくれません。私たちが生きるこの世はフィクションではありませんし自分が無敵のヒーロでない事を心底自覚して、豊かで幸福な毎日を1日でも多く生き延びてください。
ところで、映画『サンアンドレアス』は果たしてA級かB級か。
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