今年も残すところ僅か10日という事でいよいよ押し詰まってまいりましたが皆さんはいかがお過ごしでしょうか。東北や北海道また日本海側など広く暴風雪が続いていて厳しいこの年末ですが、どうかご無事で新年を迎えられますよう心からお祈り申し上げます。
ところでこのブログを読まれている方の中にはストックフォトの仕事に従事されている(されていた)方が結構居ると思いますが、画像素材を預ける作家さんをはじめ、販売代理店にお勤めでストック画像に直接関わっておられる方、またデザイン事務所等々画像を購入する側が必ず確認する項目のひとつに画像の販売形態があります。
今から20年ほど以前までの販売形態はRM(ライツマネージド=以降RM)タイプしか有りませんでしたので、作家は現在契約中の代理店に預けた作品と同じものを他の代理店で販売出来ない宿命でした。なので他店と契約した場合は違う画像を撮影(制作)しなければなりません。
しばらくは従業員が数名の小規模な代理店でもストック内容に特徴が有れば比較的ユーザーに重宝がられていて、作家側にとってもそこそこの売り上げが期待出来ました。
ところが最近の販売形態は、かのマイクロストックやCDROM販売が堅調になってくるに伴ってロイヤリティフリー形式の売り切り型に変貌し、その後それ以外の販売形態も登場してきました。その中でも不思議な存在が『RMーNE』です。
この『RMーNE』は何故か前出のライツマネージドタイプでありながら、作家は同一画像を他の代理店に預け入れする事が可能なのです。私もこの存在には以前から気づいては居ましたが、改めて考えてみると実に理屈が曖昧な存在である事が解ります。
それではこの販売形態は誰に対してメリットが有るのでしょうか。大方は撮影された権利者(肖像権を有する)側に有ると思われます。RMは広告利用されたものから使用画像の販売履歴を調べて購入者を捜し出す事が可能なので、利用された側から苦情が入れば即対応出来るという側面があります。
また、同業他社にとって重要案件に於いて画像のダダ被りは勿論御法度な訳なので、そういった監視にも非常に役立つ訳です。なので今回登場してきた『RMーNE』で得をするのは被写体に当たる権利者のみという事が解りました。
画像は他社にも分散してしまうので広告主側では正確且つ確実な情報が得られづらく、売り切り画像とそれほど変わりがない存在です。それでは作家側にとってメリットはどうでしょう?これもまた、ロイヤリティフリーと代わり映えはしないと私は考えます。
ギャランティーは売りきりと同じ条件になりますし、それに加え元々がRMが基準なので使途に際してそれぞれ価格や使用期間が定められ料金も案件によって個別に発生します。その他にも可成りの制約が有るので使う側にとって広告費がかさむ可能性もあり躊躇しがちです。
むしろ従来のロイヤリティフリー(RFーNE)の方が気軽に使ってもらえるかもしれません。私の知人も代理店の勧めでRMから半強制的に『RMーNE』に変更されたという話しを聞きました。
販売サイトの売り場での表示は全てRMと表向きなっていますが、『RMーNE』で販売されている画像は結構増えているのではないかと感じます。素晴らしい画像であれば別ですが、殆どの場合他社の履歴が解らない訳ですからきっとそんなには捌けないでしょう。
『RMーNE』ばかりの契約作家さんは気の毒ですね。
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